「利益が出ているのに倒産」—なぜそんなことが起きるのか?
中小企業の経営支援を行う中小企業診断士、税理士、経営コンサルタントの皆さま。
クライアント企業が利益を上げているにもかかわらず、以下のようなリスクに直面しているケースに心当たりはありませんか?
「黒字決算なのに、資金繰りが苦しい」
「売上は右肩上がりだが、借入金の返済が重くなっている」
「決算書上は問題ないのに、従業員の給与や仕入れの支払いが厳しい」
これはまさに「キャッシュフロートラップ」と呼ばれる状況。
利益とキャッシュ(現金)の違いを正しく理解しないと、黒字倒産に陥るリスクが高まります。
本記事では、「なぜ黒字なのに倒産するのか?」という根本的な疑問に対して、キャッシュフローの視点からその要因と対策を解説します。
黒字倒産の3大要因
① 売掛金の回収遅延による資金不足
損益計算書では「売上」が立っていても、実際の入金(キャッシュイン)は後になることが多く、資金繰りを悪化させる要因になります。
✅ 典型例
・取引先との支払サイトが60日〜90日と長く、入金まで時間がかかる
・売上が増えるほど売掛金が膨らみ、キャッシュが不足
・一方で、仕入・人件費などは即支払いが発生する
✅ 対策
・支払サイトの交渉(早期回収、前受金の活用)
・売掛債権の流動化(ファクタリング、手形割引など)
・回収状況のモニタリングと督促体制の強化
② 過剰在庫による資金の固定化
売上増加を見越して仕入れや製造を増やしすぎると、在庫が資金を圧迫します。在庫はキャッシュではないため、過剰在庫は黒字でも資金不足の大きな要因に。
✅ 典型例
・季節変動を読み違え、大量在庫が残る
・新製品の投入タイミングがズレ、想定より販売が遅れる
✅ 対策
・在庫回転率の定期的な分析と管理
・最小必要在庫の算出と発注計画の最適化
・売上予測の精度向上と柔軟な調達体制
③ 設備投資・借入返済のタイミングミス
利益が出ているからといって、無理な設備投資や借入金の返済を進めてしまうと、キャッシュが枯渇する危険があります。
✅ 典型例
・設備導入後に売上が思ったほど伸びず、返済が資金を圧迫
・一括償却を選択し、税金負担が一時的に急増
✅ 対策
・設備投資のROI(投資収益率)とキャッシュ回収計画の明確化
・借入返済の繰上げは資金余裕がある時に限定
・設備投資は分割導入やリースも検討
「利益」と「キャッシュ」は別物という意識を持つ
経営者や支援者が最も気をつけなければならないのは、利益とキャッシュを同一視しないことです。
観点 | 利益(損益計算書) | キャッシュ(資金繰り) |
売上計上 | 請求書発行時 | 実際の入金時 |
費用計上 | 発生主義(引当含む) | 実際の支払い時 |
税金 | 利益ベースで課税 | 支払のタイミングで資金減少 |
キャッシュフローに基づく経営管理を行うことで、黒字倒産を未然に防ぐことが可能になります。
✅ 資金繰り表を定期的に作成・更新する
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